北欧の福祉
デンマークの教育/障害児教育
保育 Borunehave
コムーネにより異なるが、ふつう生後6ヵ月から3歳までがひと区切りで、乳児院や保育ママなどによって、この年齢の子どもの55%がケアされている。保育園に入所できるのは3歳から6歳までで、現在はこの年齢の子どもの約70%が保育園で保育されている。
保育所の収容可能人数はすべての子どもの数をカバーしていないので、保育所に入れない子どもは、保育ママ、民間保育、親や祖母たちの共同保育、職場の保育所などがカバーしている。保育料の親の負担は経費の30%で、1ヵ月2〜3万円前後になる。
就学年齢は6歳になったが、6歳で就学しない子どもも午前中は基礎学校入学のためのプレスクール授業を受けるため、他の子どもたちとは別カリキュラムになる。
基礎学校(初等及び中等教育、義務教育)Folkeskoler
6歳から9年間の義務教育があり、児童の90%がコムーネ立の基礎学校に通っている。残りの10%はシュタイナー学校などの私立学校に通っている。基礎学校は無料、私立学校は、有料。学期は8月1日に始まり、6月10日前後に終了する。1クラスの児童数は最高28名で、平均は21名前後。通信簿と採点は8 年生から採用。国語、算数、英語、ドイツ語、物理に限り希望者に試験が行われる。
上級の学校に進学するにはこの試験を受けなければならない。
学校運営は学校理事会が行う。理事会はコムーネ議員、父兄代表、生徒代表、校長から構成されている。生徒代表も人事以外のことは発言権がある。
コムーネの中の数校だけが特殊学級をもっており、生徒は遠くから通っているケースもある。普通学校の中に特殊学級があり、授業は別、食堂や校庭は一緒になっている。教員のほかに理学療法士、作業療法士、心理療法士、言語療法士などが協同で教育している。
普通学校とは別に、5〜16歳の知的障害児・身体障害児を教育している特殊学校もある。
知的障害者センター
18歳以上の障害者のグループホーム、デイケアセンター、アクティヴィティセンターなどが一つになった施設。グループホームは個室で、1棟に数人ずつ生活している。アクティビティセンターは料理やスポーツ、ダンス、歌などを楽しむところ。
知的・障害者就労センター
18歳以上で、仕事をしたいと望む障害者のための仕事の場。仕事の種類はセンターによって異なるが、陶芸、刺しゅう製品、木工製品など。県営の施設だが、ある程度は独立採算制であり、職員が販路探しに懸命になっている。勤務時間は8〜16時だが、早引きは自由。給料は自給制。
学童保育 Fritidsordninger
コペンハーゲン以外のコムーネの学校には、学校併設の学童保育所があり、学校に籍をおく児童と5,6歳児童の保育を行っている。コペンハーゲンは保育労働組合が、朝から夕方まで同じ場所で生活するのは子どものためによくないと主張し、学校とは別に地域の学童保育所があり、学校併設の学童保育所は1ヵ所もない。学童保育所を利用しているのは、児童の約40%。保育料は有料で、必要経費の30%を親が負担し、残りをコムーネが負担する。
高等学校(上級中等教育)Gymnasier
16歳からの3年間が高等学校に相当する。コムーネ立高校の授業料は無料で、交通費も支給される。高等教育機関への進学資格である上級中等教育卒業試験をパスするための教育課程にあたる。基礎学校卒業生の25%が高等学校に進学する。授業は数学系と語学系の2系統に分けられ、8分野ある。
職業専門学校 Kurser
基礎学校を卒業した人の75%近くがこの学校へと進学する。普通は3年で、さらに1〜2年の上級に進む場合もある。1年目の基礎過程で、商業、金属工業、土木、食品、印刷、サービス業、農業、運輸などについて学ぶ。このあと生徒は自分の専門分野を決め、学習と実習を繰り返しながら、専門の職人への道を進む。
大学
デンマークには5つの総合大学があり、そのほかに工学、医学、薬学、歯科技術、獣医学、建築などの高等教育機関がある。入学資格は、上級中等教育卒業試験の成績による。大学は最低6年間は学び、マスターの資格を得る。
国民高等学校 Folkhojskoler
スウェーデンの国民高等学校の項を参照してください。
成人学校
成人学校は各種あり、なんらかの理由で中学校卒業資格を取得できなかった人や高校入学試験の受験資格を得られなかった人にその資格を取得させたり、自分が学んだものと違う職業につきたい人のために職業教育をしたりする。若い人の失業率または未就労率が高く、失業保険や生活保護金を受けているだけの生活では、人生に絶望してしまう人もいるので、そういう人の精神の苦悩を救済するための成人学校もある。
フリースクール Friskole
デンマークにはフリースクール法という法律があり、初年度最低12人の生徒と教師1人で自分たちで学校を作ることができる。2年目は28名の生徒がいれば国から補助金もでる。このため各地に多くのフリースクールがある。シュタイナー学校も国民高等学校もフリースクール法の中で設立され、維持されている。
シュタイナー学校 Rudolf Steiner Skolen
オーストリア生まれのルドルフ・シュタイナーが提唱した教育法で教育している学校。もともとは8年制の教育で、ドイツやデンマークなどの多くの国の教育年限と合わない。例えば、あるシュタイナー学校は基礎学校部分8年(公立は9年)に加えて4年の高校(公立は3年)を併設し、合計で12年として、公立学校の教育年限とあわせている。シュタイナー教育では、植物から作った自然色のクレヨンや絵の具を使って、絵を描きながら数字やアルファベットを学び、さらにオイシュトミーと呼ばれるカーブする線を動きに採り入れたダンスなど、身体やリズムを使って覚えることに重点をおいている。こうした教育方針は、最近デンマークの公立学校の教育にも採り入れられている。







